大規模修繕の鉄部塗装工事について

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の周期と施工方法・費用相場とは
こんにちは!定額制修繕サービス“メンパク”を全国に広げる株式会社メンパクパートナーズです。
定額制修繕サービス“メンパク”は、日本中の不動産オーナーの修繕に対する課題を解決する日本初のサービスです。大規模修繕領域のサービスではありますが、メンパクを通じて不動産オーナーのキャッシュフローを解決するサービスでもあります。
今回は、鉄部の塗装工事の周期と施工方法・費用相場」について解説したいと思います。

1.そもそも鉄部塗装は必要なのか

多くの方は、鉄部塗装なんて必要あるのか?という疑問から始めることが少なくありません。現代のマンションやアパートには、大抵鉄部の部位が存在しますが、鉄部塗装がなぜ必要かというと、「鉄部は必ず錆びてしまい、耐久性が著しく低下する」からです。そして、鉄はさびに変わっていくことになります。

大規模修繕知識 | そもそも鉄部塗装は必要なのか

鉄さびは鉄が酸化したもので、酸化鉄とも呼ばれます。鉄の酸化には溶解する水分、溶解を促進させ、安定化させるための酸素が必要となります。塗装による塗膜はこの水分と酸素が鉄と接触することを防ぐ役割がありますが、経年劣化によりこの塗膜が剥がれることによって、鉄さびとなるのです。経年により鉄さびが進行することにより、本来求められる建材として役割(耐久性)を維持することが出来なくなり、劣化が最悪な状況までに陥ると鉄階段として登り降りが危険なレベルまで陥ることになります。

また、鉄部の修繕には、さびている部分を削り落として、改めて塗装出来る場合は費用がまだ安価となるケースになりますが、劣化が酷い場合は、交換する以外に手段がなくなってしまうため、いかにして日常のメンテナンスをするかで費用の増減が著しく顕著になる部位でもあります。

2.鉄部塗装工事の必要性

そのような鉄部部位は、日常のメンテナンスにより、大幅に費用を安価に抑えることが可能です。その中で、改めてなぜ鉄部塗装工事が必要なのか紹介します。

2.1 鉄部の塗装工事の必要性 | 美観と外観の回復

鉄部の塗装を怠り放置していると、塗膜の剥がれやひび割れが起こり、更に赤い錆が出で著しく美観を損ないます。ほとんどの入居者は錆に「汚い」というイメージを持つため、塗装することで美観を保つことは大切なメンテナンスになります。

大規模修繕知識 | 鉄部の塗装工事の必要性 | 美観と外観の回復

2.2 鉄部の塗装工事の必要性 | 錆と腐食からの保護

鉄部が「なぜ塗装されているか」の最大の理由は、錆と腐食からの保護です。剥き出しの鉄は外気や雨水により酸化し錆が出て腐食してしまうので、表面を塗装することで老朽化を防ぐことで長期間使用できるようにするため、塗装し続ける必要があります。

2.3 鉄部の塗装工事の必要性 | 安全性の確保

経年により塗膜が劣化し錆と腐食がひどくなると、入居者が触れた際に不衛生な錆が手に不着するだけでなく、鉄製品の倒壊による重大な事故に繋がりかねません。

3.鉄部塗装工事のタイミングと周期

鉄部の塗装工事の周期は一般的に5~6年と言われています。鉄部の塗膜の剥がれ・錆の表出・腐食は目視で確認できるので、それらが発生していれば塗装工事を行う時期であることは一目瞭然ですが、鉄部が劣化している状態なので未然に防ぐように塗装工事を行いたいところです。

そこで、鉄部の塗膜の劣化を簡単に見分けられるのが「チョーキング現象」です。

大規模修繕知識 | チョーキング現象

塗装の塗膜は経年変化により太陽光の熱と紫外線、雨と風により劣化し、塗膜の表面を指でこするとチョークの粉が付いたようになります。これを「チョーキング現象」と言い、塗膜の防水機能が低下している状態です。この状態を放置すると、塗膜のひび割れや剥離が起こることで内部の鉄に外気と雨水が侵入し、錆が出てしまいます。

現在広く普及している鉄製品向けの塗料では5~6年ぐらいの周期で再塗装することが目安です。しかし、塗料の性能も様々なので5~6年以上保てる塗料も存在しますので、一概に5~6年周期とは言えません。

4.鉄部塗装工事の流れとは

では、鉄部修繕の必要性と周期が、わかったところで実際にどのような工事が必要なのか見ていきましょう。

4.1 鉄部塗装工事の流れ | ケレン作業

ケレンとは、既存の錆や異物を除去して下地を整える作業です。この作業により鉄部の耐久年数を保つことと、塗装工事による新しい塗膜の密着率を高める効果があるので、塗装工事の仕上りを左右する大切な工程になります。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の流れ | ケレン作業

4.2 鉄部塗装工事の流れ | 下塗り(錆止め)

ケレンがけした下地に先ずは錆止めの塗料を塗布します。この錆止め塗料は塗り残しがないように、視認しやすい赤さび色の塗料を塗布することがこの工程のコツです。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の流れ | 下塗り(錆止め)

4.3 鉄部塗装工事の流れ | 中塗り・上塗り

下塗りした錆止め塗料を保護する目的で、中塗りと上塗りを行います。中塗りと上塗りに分けて同一の塗料を塗布し、塗料メーカーの膜厚の基準を守って塗装することが大切です。外壁やその他部位の塗装については水性塗料を使うことが一般的ですが、鉄部の場合は溶剤塗料を使用することが最も良いとされています。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の流れ | 中塗り・上塗り

但し、錆や腐食もなくチョーキング現象のみの場合、粉末状になっている塗膜を除去するために高圧洗浄をかけて、錆止め・中塗り・上塗りの塗装工事を行えばいいので、ケレン作業の工程が無くなり、費用も安価に済みます。また、部分的な塗膜の剥がれがあれば、その都度タッチアップ(部分的に塗装して鉄部を保護する)するというメンテナンス方法がありますが、大抵の塗装業者では、タッチアップだけの塗装工事だけでは、業者側の手間と費用的では、受託することが難しい作業です。

5.鉄部塗装工事にかかる費用相場

では、塗装工事の流れもわかったところで、みんなが気にする鉄部塗装工事にどれくらいの費用がかかるかを説明したいと思います。鉄部塗装工事と一概に言っても、構造物の形状や劣化状況に応じて、大きく異なるため、一般的な状態での費用を紹介します。

 

6.鉄部塗装工事の注意点

最後に、鉄部塗装工事等を発注する際の注意点を紹介したいと思います。鉄部塗装工事は、極論として「適当に工事をしても、一定期間は見た目が変わらない」ものです。どうしても塗装をしてしまうと、鉄部部分が隠れてしまうため、経年劣化したときにようやくきちんと工事がされているかわかることが、往々にして存在します。そんな中で気をつけてほしいポイント5選を紹介します。

6.1 鉄部塗装工事の注意点 | ケレンがしっかり行われているか

鉄部塗装工事において、ケレンがしっかりと行われているかは、とても重要です。元々の状態にもよりますが、既に鉄さびが発生している状態では、ケレンをしっかりと行うことで、腐食をこれ以上発生させないことにも繋がります。また、ケレンによる下地の調整は塗料の密着率を高めて鉄を保護するためにとても大切な工程になります

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の注意点 | ケレンがしっかり行われているか

6.2 鉄部塗装工事の注意点 | 錆止め作用のある下塗り剤を使用しているか

徹底したケレン作業後に、必ず錆止め塗料を満遍なく塗布します。鉄は必ず錆びていくものなので、できる限り錆が出ないように錆止め塗装することは必要不可欠です。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の注意点 | 錆止め作用のある下塗り剤を使用しているか

6.3 鉄部塗装工事の注意点 | 塗料の膜厚がメーカー基準を満たしているか

塗料は各メーカーで塗料の効果を最大限発揮できる膜厚が決まっており、ほとんどの場合は中塗り・上塗りを行うことで既定の膜厚に近づけます。一度塗りで既定の膜厚にしようとすると塗料の内部まで乾燥せず、塗膜のひび割れや剥離に繋がりますので、必ず二度塗りで行って下さい。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の注意点 | 塗料の膜厚がメーカー基準を満たしているか

6.4 鉄部塗装工事の注意点 | 飛散の防止

塗装工事を行う際には塗料の飛散を100%無くすことはできませんが、塗装道具は飛散しにくい刷毛やローラーを使用し、マスキングテープによる養生を丁寧に行うことで塗料の飛散を最低限に抑えて実施します。また、近隣住居や車両への養生にも最新の注意を払って実施します。

大規模修繕知識 | 鉄部塗装工事の注意点 | 飛散の防止

6.5 鉄部塗装工事の注意点 | 臭い対策

溶剤塗料を使うと臭いは必ず発生しますので、鉄部の塗装工事を行う際は事前に工事日程を居住者と近隣住民の方々にお知らせします。特に、シンナー系の塗料に関しては、人によっては匂いが強いため、空気の流れが悪い場合は、塗料に関しても一定の配慮をしつつ、修繕致します。

7.まとめ

外壁や屋上の防水などと比較すると鉄部の塗装工事の適正周期は早く訪れます。一般的に鉄部を含めた大規模修繕は15年毎に行われるオーナー様が多いので、鉄部以外の修繕の周期に合わせて鉄部の塗装工事を行っていると鉄部の劣化はどんどん進んでいきます。鉄部の腐食がひどくなると交換工事をせざるを得なくなりますので、部位にもよりますが数十万~数百万円の費用が一度に手元から出ていくことになってしまいます。そういった急な出費を減らすためにも、5~6年のうちに塗装やタッチアップを行うことで鉄部の錆と腐食を防ぎ、最も費用をかけない安心・安全なマンション経営を目指していきましょう。


株式会社メンパクパートナーズでは、マンションの補修・修繕工事にまとまった手元資金がほとんどかからない「手元資金がどんどん貯まる」月額制の計画修繕サービス「メンパク」を提供しています。外壁タイルの補修・修繕工事及びメンテナンスが定額制で行えるうえに、鉄部の塗装後のタッチアップについての追加費用は“無料”となっております。ご相談ももちろん無料ですので、お気軽にご相談下さい。

 

 

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