外壁の補修工事・塗装工事はなぜ必要なのか?

大規模修繕知識 | 外壁の補修工事・塗装工事はなぜ必要なのか?

こんにちは!定額制修繕サービス“メンパク”を全国に広げる株式会社メンパクパートナーズです。 定額制修繕サービス“メンパク”は、日本中の不動産オーナーの修繕に対する課題を解決する日本初のサービスです。大規模修繕領域のサービスではありますが、メンパクを通じて不動産オーナーのキャッシュフローを解決するサービスでもあります。

今回は、意外と知られていない「マンションの外壁補修工事・塗装工事の必要性」について解説したいと思います。

1. 外壁の補修工事・塗装工事は、なぜ必要なのか?

マンションのオーナー様が所有している物件の外壁の補修工事と塗装工事を「そろそろ大規模修繕をやらないといけないかな?」と検討するきっかけとしては、外壁の目に見えた汚れや損傷であったり外壁からの漏水が起こってから管理会社の報告により本格的に検討されるオーナー様も多いのではないでしょうか?

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しかし、マンションの外壁の目に見えた汚れや損傷が目立つ頃には内部の鉄筋や躯体コンクリートの劣化が進んでしまっている可能性が有ります。鉄筋や躯体コンクリート自体は防水機能が無いので、外壁の劣化により外気や雨水の侵入することで躯体が傷んでしまうと思いも寄らない多額の出費と建物の寿命を縮める原因になります。

国土交通省が発行している「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」では、おおよそ12年に一度の外壁塗装工事を含めたマンションの大規模修繕を行うことを推奨しています。今回の記事では、マンションの外壁の種類別で、いずれは必ず必要になる外壁の補修・修繕工事がなぜ必要なのか、どういった補修・修繕工事を行うと良いのかを取り上げます。

2. 外壁の各種類(モルタル・タイル・ALCパネル・サイディングボード)

それでは、マンションの外壁にはどんな種類があるのか、代表的なものをご紹介していきます。

 2.1 モルタル壁(塗装)

モルタル壁は躯体コンクリートに密着するように下地を作り、その上からセメント・砂・水を一定の割合で混ぜ合わせたもので塗り固め、更に塗装を施した外壁です。

大規模修繕知識 | モルタル壁(塗装)

タイル・パネル・サイディングボードとは違い、目地がないのでシーリングする必要がないことがメリットですが、モルタル表面にクラックが入りやすいことがデメリットです。

大規模修繕知識 | モルタル壁(塗装)

 2.2 タイル壁(非塗装)

タイル壁とは、年度や石・土などを約1,000℃以上の高温で焼き上げて固めたものです。内壁や床、浴室の壁などにも使用されますが、立体感が有り高級感が有ることから外壁材の中でも人気です。

大規模修繕知識 | タイル壁(非塗装)

タイル壁は無機質素材でできており頑丈な素材なので、耐久性や耐候性についてはモルタル壁やパネル・サイディングボードよりも優れていることがメリットです。デメリットとしては、初期費用が高く、タイルが剥落(剥がれて落下する)すると大きな事故に繋がってしまう可能性があることが挙げられます。

 2.3 ALCパネル(塗装)

ALCパネルとは、軽量の気泡を含んだコンクリート素材でできており、主原料としては珪石・セメント・生石灰・アルミニウム粉末が挙げられます。外壁として使用されているのは長さ2,400~6,000mm、幅約600mmで、パネルとパネルの間にはシーリング材を充填しパネルの表面は塗装を施すことで外気と雨水の侵入を防いでいます。

大規模修繕知識 | ALCパネル(塗装)

メリットとしては、耐火性が強く、強度があり、断熱性に優れていることが挙げられます。

大規模修繕知識 | ALCパネル(塗装)

デメリットとしてはALCパネル自体の防水性低く、内部に水が侵入すると膨張とひび割れが起こるので、表面の塗装による防水は欠かせません。また、シーリング材を多用するので修繕の際のシーリング費用が高くなります。

 2.4 サイディングボード

サイディングボードとは、その名の通りボードを外壁に張り合わせてボードとボードの間にシーリング材を充填して形成する外壁です。物件の現場で外壁を形成するモルタル外壁とは違い、工場で製造されたボードを現場で張り合わせることから、工期も短く職人のコストも抑えられ、レンガ調やタイル調など多種多様なデザインを選べることから近年人気がある外壁材になります。

大規模修繕知識 | サイディングボード

サイディングボードの材質としては、窯業系、金属系、木質系、樹脂系などが挙げられますが、現在よく使用されている材質は窯業系と金属系です。窯業系サイディングボードとは、土や砂を窯で高熱で処理してセメントを製造し繊維を混合して強度を増しているものです。ただ、窯業系サイディングボード自体には防水性能が低いので、表面に塗装し防水する必要があります。

大規模修繕知識 | サイディングボード

金属系サイディングボードで最も代表的なのはガルバリウムという合金でメッキ加工された鉄でできた「ガルバリウム鋼板」という軽くて断念性や耐久性に優れた素材です。こちらの素材はマンションの外壁に使われることは少ないですが、しばしば屋根材として使われることがあります

3.外壁の一般的な補修工事・塗装工事の施工方法

一概に外壁工事といえども、工事内容として「塗装工事」「カバー工法」「張り(取り)替え工事」の3つに分類されます。今回は、その中でも一般的な「塗装工事」について説明したいと思います。建物の外壁は地震や雨風の影響により目で見ても気づかない程度に振動しているので、モルタル外壁のクラックは避けられませんどんな高品質な塗料を使って塗装工事を行ったとしても、モルタル外壁にクラックが入ってしまうと内部に水が浸透し、コンクリートのクラックと鉄筋の錆を誘発させます。

大規模修繕知識 | 外壁の一般的な補修工事・塗装工事の施工方法

ヘアクラックやすぐに躯体コンクリートに劣化の影響を及ぼさないクラックについては点検・経過観察・部分的なシーリングをすれば済みますが、大きなクラックができてしまった場合、サンダーなどでクラック部分を滑らかにして部分的にシーリングまたはエポキシ樹脂を注入する工法がベターです。

 3.1 クラック補修工程

塗膜表面にできる細かなヘアクラック(0.3mm以下)については早急な補修は必要は有りませんが、それ以上のクラックの補修については早く行うことに越したことは有りません。補修方法は、Uカットシール材充填工法やクラック箇所にシーリング材を注入する方法、一定間隔でエポキシ樹脂を注入する工法などがあります。

大規模修繕知識 | クラック補修工程

最も効果がある工法はUカットシール材充填工法になりますが、ディスクサンダーなどでクラック部分とその周辺を表面から削り取ってクラックの補修をしやすくしてからエポキシ樹脂やシーリング材を注入するので、工事費用は高額になります。また、サンダーを使用することで騒音が発生することから近隣や居住者の状況を鑑みて施工する必要があります。

3.2 塗装工程

モルタル外壁自体には防水性能がないので塗装が必要不可欠であり、塗膜の防水機能は使用する塗料の種類によって耐用年数も変わってきます。塗料の種類については、リシン、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、セラミック、光触媒などが代表的でその他様々な塗料が存在しますが、基本的な施工方法はそれぞれ共通しているので塗装の一例をご紹介します。

3.2.1 高圧洗浄工程

外壁に付着している苔・カビ・汚れを高圧洗浄機で除去し、十分に乾燥するまで放置します。

大規模修繕知識 | 高圧洗浄工程

3.2.2 養生工程

塗装する箇所以外のマンション付帯設備や鉄部などに塗料が飛び散らないように養生テープを施します。この養生テープの仕上がりで塗装の仕上がり・見栄えが大きく変わるので大切な工程です。

大規模修繕知識 | 養生工程

3.2.3 下塗り工程

傷んだ外壁に下地材を塗り表面の凹凸をできるだけ平滑にすることで中塗り剤や上塗材の密着率を高める効果がありますので、適切な下地剤の選定と下塗りは大事な工程になります。

大規模修繕知識 | 下塗り工程

3.2.4 中塗り工程

中塗りと上塗りの塗料は同じ塗料を使用するのですが、その理由としては十分な塗膜の厚さを形成するためです。一度に大量の塗料で塗装してしまうと塗膜の内部まで十分に乾燥せず施工不良が生まれる原因になるので、2回に分けて塗装します。

大規模修繕知識 | 中塗り工程

3.1.5 上塗り工程

中塗り塗料が完全に乾いた後に上塗りを行い、塗料メーカーの基準を満たす厚みで塗装します。外壁を紫外線や雨風から守るためにはこの十分な厚みを形成することがもっとも大切な事となります。あとは、塗料が完全に乾燥するのを待って完工となります。

大規模修繕知識 | 上塗り工程

4.タイル外壁工事の施工方法

タイル外壁はタイル自体に防水効果がありますが、タイルの浮き・ひび割れ・剥落が起こっている場合躯体コンクリートに雨水が侵入している・侵入する恐れがあるので、できるだけ早急に補修する必要があります。タイル貼りの建物は、外壁タイルの剥落・落下による事故を防止するため、竣工や改修から10年以上経過している場合、3年以内の「外壁の全面打診調査」を実施する必要があります。タイル補修・張替えの施工方法の一般的な流れは下記の通りです。

4.1 タイル外壁工事工程 | 打診調査

タイルは一枚ずつ貼り付けられているので、一つ一つくまなく打診検査する必要がありますテストハンマーを使用し外壁タイルの全面を手作業で打診検査しタイルの浮きを確認し不良箇所をマーキングします。目視によるタイルのひび割れやタイルの剥がれもこのとき注意深く行うことも大切です。

大規模修繕知識 | タイル外壁工事工程 | 打診調査

4.2 タイル外壁工事工程 | クラック補修

タイルのひび割れが確認できた場合、タイルをダイヤモンドカッターなどで切り剥がすのですが、躯体コンクリート自体にクラックが入っている場合があります。その場合、クラックにエポキシ樹脂を注入し補修します。

大規模修繕知識 | タイル外壁工事工程 | クラック補修

4.3 タイル外壁工事工程 | 浮き補修(注入)

打診検査で確認したタイルの浮きはピンニング工法により補修します。ピンニング工法とはタイルにドリルで小さな穴を開け、その穴からタイルと躯体コンクリートの間の浮いている空間にエポキシ樹脂を注入しタイルと躯体コンクリートを密着させタイルの剥落を防ぐ工法です。

大規模修繕知識 | タイル外壁工事工程 | 浮き補修(注入)

4.4 タイル外壁工事工程 | タイル張替え

タイルの浮きや剥がれがひどい場合、新しいタイルに張り替える工事を行います。タイルを張り替えるには、「①タイルの浮き・ひび割れ箇所をマーキングし、ダイヤモンドカッターやタガネ・ハンマーで撤去」「②タイル撤去箇所にタイル用の接着剤やモルタルなどで接着させるための下地を形成」「③既存のタイルに一番近いデザインと材質のタイルを用意し張り付け」の流れで実施します。

大規模修繕知識 | タイル外壁工事工程 | タイル張替え

5.ALCパネルの施工方法

ALCパネルの外壁で劣化しやすいのが、シーリングです。このシーリングが劣化し剥離してしまうと、雨水が直接内部に侵入してしまいますので、定期的な点検と補修が必要です。ALCパネルも経年劣化によってパネルにひび割れが入ったりしますのでこちらもコーキングによる部分補修が必要になります。また、ALCパネルの表面の塗装については塗料のグレードと施工内容の品質にもよりますが、部分的に塗料の剥離などが起こることもあるので、そういった場合は部分的に補修・塗装工事を行うようにします。

5.1 ALCパネル外壁工事工程 | シーリング撤去・充填

パネルとパネルの間に充填されているシーリングは雨風や紫外線や地震などによって劣化し硬化によるひび割れや剥離が起こります。このシーリング部分が損傷すると外壁の内部に直接雨水が入ってしまいますので、劣化が見受けられた場合、早急に補修することを推奨します。そのため、既存の古くなったシーリング材は完全に撤去し、全面的な打ち替えを行います。

大規模修繕知識 | ALCパネル外壁工事工程 | シーリング撤去・充填

5.2 ALCパネル外壁工事工程 | パネルのクラック補修

ALCパネルはコンクリートでできており丈夫なものですが、地震などによりパネルにクラックが入ることがあります。この場合、サンダーによりクラック箇所をU時にカットしてシーリング補修を行います。

5.3 ALCパネル外壁工事工程 | パネルの塗装

無塗装のALCパネルは防水機能が無いので、既存の塗装が経年劣化によって防水機能を失っている場合は早めに塗装をする必要があります。塗装の工程については先述したモルタルの塗装工程と同じです。

大規模修繕知識 | ALCパネル外壁工事工程 | パネルの塗装

6.サイディングボードの施工方法

サイディングボードとは、建物の外壁に張りつける仕上げ用の板材のことを指します。一定サイズにカットして外壁に貼りつけることで、雨漏りや剥がれなどの劣化を防止することができます。一昔前の主流であったモルタル壁(塗り壁)とは違い、施工にかかる時間が短く、工事費用が安く済みます。モルタル壁とは違ってヒビが入るリスクも少なく、外壁としての寿命も長いとされています。そんなサイディングボードの施工方法を見ていこうと思います。

6.1 サイディングボード外壁工事工程 | シーリング撤去・充填

サイディングボードのシーリングについては上記のALCパネルと同様です。こちらも補修時期を迎えたら全面的なシーリング撤去と充填が必要です。

大規模修繕知識 | サイディングボード外壁工事工程 | シーリング撤去・充填

6.2 サイディングボード外壁工事工程 | サイディングボードの塗装

塗装についてもALCパネルと同様で、コンクリート系のボードにとって必要な修繕工事になります。塗装工程についてはモルタルの塗装と同様です。金属系のガルバリウム鋼板は錆が出にくい材質ですが経年によって錆が出ますので、その際は塗装することを推奨します。

大規模修繕知識 | サイディングボード外壁工事工程 | サイディングボードの塗装

7.まとめ

以上から、どんなに強固で頑丈な外壁であろうといずれは必ず補修・修繕工事が必要であるということはお分かりいただけたかと思います。ほとんどのオーナー様たちが15年毎の大規模修繕を目安にされているかと推察しますが、建物は立地条件や天候により各部位の劣化スピードは異なり、自然災害や天災により著しく劣化することもあります。

それでも手元資金の不足を理由に補修・修繕工事が必要な箇所を放置しておくと、後々に多額の費用がかかってしまうことも少なくありません。オーナー様にとって最も望ましいのは安心・安全な居住空間を居住者に提供し、できるだけのコストカットを行い不動産経営を継続することですので、ぜひこの機会にご所有されている物件の状態を確認し、ご自身にとって最も適したマンションのメンテナンス方法を検討することをおすすめ致します


株式会社メンパクパートナーズでは、マンションの補修・修繕工事にまとまった手元資金がほとんどかからない「手元資金がどんどん貯まる」月額制の計画修繕サービス「メンパク」を提供しています。ご相談はもちろん無料ですので、お気軽にご相談下さい

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